IF...
あの瞳(め)≠ヘ良くない
あのこを傷つけるかもしれない
守るのではなく、
傷つける
自分が願ったモノの真反対、
対極に位置するモノ
彼はあのこを 傷つける―――
不安だったもしも≠ェ丸い風船のように大きく膨らんでいく
「……」
自虐のように歪んだ瞳≠ェ、一見見間違えてしまいそうに穏やかにゆるめられる。
そして、
毒を持った唇が熱い吐息を愛しいように吐き出された。
「じゃあ、明日から俺は先生ってことですね。遅刻しないようにしなくちゃな」
彼には解る
目を細める 優しい顔は嘘
柔らかな声音も ウソ
「頼んだぞ。カカシ」
最後に念を押すよう、震える咽喉をムリヤリ抑えつける。
最後の望みに縋りつくように。
しかし―――
変わらない笑顔で応える言葉は、
「ええ。任して下さい」
これも、 うそ
ああ………っ、
絶望のようなため息が漏れる。
三代目火影は、解っていても彼に頼まざるを得なかった。
彼の尊い引継ぎ者の願いでもあり、おのれ自身の願いでもあったから。
あのこに笑顔を……
ほんとうの笑顔を……
皆に祝福されますように…
彼が残した遺言の一つ。
三代目はせめても、と。思い、あの子をカカシに託した。
それも、彼が望んだこと。
カカシにもね、ほんとうの笑顔を送ってあげたい……
―――だが、四代目よ。
カカシにはまだ早かったみたいだのう…あの瞳(め)≠ヘ…
―――あの瞳はまだ
―――怨んでいる……
―――里を、
―――忍びを、
―――九尾を…………
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