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―――始まりは、いつも突然
 そして
―――終焉も、いつも突然


 木が燃えて、倒れて、
 空気が上昇する
 何もかもが熱さに包まれて力尽きていく……



 じっと、睨みつけるように、

 愛する人たちが次々に倒れていく中
 彼はただ一人、眼の前の恐怖から臆することもなく
 逃げ出すことも
 眼を逸らすこともしなかった

 そして、
 彼が敬愛する恩師が今まさに力尽き、冷え逝くときも
 彼は
 眼を
 逸らさなかった―――


 じっと、睨みつけるように、
 悲しみも映さずに、彼の眼に宿るのは
 深い絶望と、
 
 螺旋のように燃え上がる黒い憎悪だった―――



    ++IF... ...起={+ 




「担任、ですか……」

 思ったよりも滑らかに言葉が出たものだと思う。
 粘膜が渇いて咽にはりついていたというのに。

「うむ。お前が一番の適任だと思ったからのう」
「はぁ…」

 任務を無事果たし、報告をするためにここに来てみれば突拍子もないことを言われ、

 溜め息のような生返事を返せば、

「どうした、何か言いたいことでもあるか」
「ええ…まあ。いきなりといいますか、何といいますか…」

 口元に手をやり、思案するように答えると彼が言葉の続きを言うよりも早く、目の前に悠然と座っていた三代目火影からそれを受け継ぐかのように言葉が返ってくる。

「異論があるというなら聞かなくもないが…のう。だが今回に限って、お前の意見は通らないと思っておくんじゃのう」


「は?今なんと」

 さらりと聞き捨てならないことを言われた気がし、聞き返してみるが、

「さて、お前に担当してもらうのは第七班。うちはサスケとはるのサクラ、そして……」
「いや、だからですね―――」

 人の話を無視して勝手に話を進めていく目の前の御人に彼はガクッと判り易いほどのジェスチャーを返した。
 しかしそれでも尚、三代目は口を閉ざそうとはしない。


「うずまきナルト=v
「…っ!」


 総てのものの動きが止まったかと思った。
 自分という固体のみを残して。
 そして強い衝撃がこの身を襲い、息が止まるかと思った。
 自分の思考の内を見透かされていたのだろうか。この御人に。

 知られていたとすれば自分はそれほどまでに………


 知れず表情が歪む。



「お前にこの三人を頼むのは他でもない」

 彼の表情の変化に気づかなかった三代目は淡々と話を続ける。

「うちはサスケ≠ヘお前も知っての通り、」
「悲劇のうちは一族の生き残り」

 彼は飛ばしていた思考をひきしめ直し、三代目の言葉尻を取るように言う。

「…そう。幼いながらにも身の内に息づく力は強大じゃ。
力の使いようを間違った方向に持っていかないように誰かがあのこに教えてやらねばならん。
左眼に同じソレを持っておるお前にしか頼めれないことなんじゃよ、カカシ」
「ええ、まあそれは分かりますけどね…」

 だからといってうずまきナルトのことまで面倒を見てやるという義理はないはずだ。

「それに、あやつ…ナルトのこともじゃ」
「……?」
「もしもの時にはあやつを守ってやってくれ」
「は…?いったいそれは…」


 どういう意味なんだろうか。
 守ってやる?
 誰が?

―――俺が

 誰をだって…?

―――うずまきナルトを


「ハッ……」

 思わず空気の抜けたような嗤いが吐き出される。


「ハハハッ…ハハ…ッ」


 それが可笑しくて堪らないとでもいうように、一向にカカシの嗤い声は壊れたように止まず、さすがに三代目も眉をひそめる。

「カカシ……?聞いておるのか」
「ええ、ええ。…聞いていますよ、ちゃんと。 で?何をどうやって守るんですって?」

 鋭い視線を寄越され、カカシは肩を竦めて問い返した。
 三代目は以前として視線の鋭さを緩めず、カカシを見返す。

「……ナルトは、知っての通り里の者から憎まれ、蔑まれている。
今まではアカデミーという枠の中に閉じ込められて、良き理解者がすぐ傍におったが、これからはそうもいかん」

 三代目の言葉にカカシはある程度のことを理解した。


―――なるほど…?
      これからはその役目を俺が負えってコトね……フゥン


「任務という忍者になくてはならない大事な役目を果たすことで活動範囲が広くなってくる。そこでお前に…」
「いいですよ」

「……!?…」

 みなまで聞かず答えたカカシは三代目の驚く顔に苦笑する。

「なんですか?そんなに驚かなくてもイイデショ」
「いや…、随分とあっさりと受けたものじゃのう。渋っておったのに」



―――だって



「そんな、考えるようなことじゃないでしょう」



―――チャンスじゃないか。

 せっかくのオイシイチャンスを逃すほど俺だってバカじゃあない。



「そんなバカらしいことであのこに死なれちゃ、困りますよ」



―――なんたって、



「請けますよ。この担任の話」



―――あの九尾の器(いれもの)を、



「……」
「じゃあ、明日から俺は先生ってことですね。遅刻しなようにしなくちゃな」



―――うずまきナルトを殺すのは



「頼んだぞ。カカシ」


「ええ。任して下さい」


―――この、俺。

 誰にも渡しやしないよ。こんな、愉しいことは………ね?






 サイコロを振ったのは目の前にいる男。




 それへ俺は極上の笑みで応えてやる。




 もう止めてやらない。
 もう止まらない。


 この黒い感情を


 止めることなんかできやしない。







 さあ



 最後に笑うのは      ダレ      ?





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作者余談・・・
意味不明なお話の始まり始まり・・・・。


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